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MKSAP10 メンタルヘルスイメージ

MKSAP10 メンタルヘルス

浮田健太郎 2021/04/12

MKSAP10 メンタルヘルス タイムスタンプ

初期研修中はメンタルヘルスに関する勉強はしたことがありませんでした。救急外来などで、恥ずかしながら陰性感情を持ちながら対応していましたが、今回のレクチャーをきっかけに勉強をしました。今後、初診外来などでうまく対応ができたらなと思います。

浮田健太郎


精神障害・傷病のカテゴリー(3:01)

  • ICD-11(2018年公表、2021年から日本も準拠)とDSM-5(2013発行):精神疾患・傷病を診るにはDSM-5をおさえておくと良い
  • DSM-Ⅳ(1994)とDSM-5(2013):枠組みに違いがある 例)不安障害が不安症群/不安障害群


症例1 30歳女性 強い不安(6:21)

  • 30歳女性
  • 結婚生活、仕事、健康など、生活のさまざまな面で強い不安を感じて1年が経過したため、受診した
  • イライラする、眠れない、集中できないなどの症状があり、日常の家事や仕事をこなすのが難しいと感じている。
  • 非典型的な胸痛、息切れ、動悸、断続的な下痢など様々な症状で内科医を複数回受診している。


全般性不安障害(8:50)

「特定の主題に限定されない、多数の日常的出来事に関する過剰な不安、ほとんど毎日、日常生活に支障をきたすほどの強い制御困難な不安」

GAD-7;7つの質問を2週間にどの位感じているか評価。重症度の長期的モニタリング、治療効果を確認に有用。

スクリーニングとしては初めの2つの質問で構成されるGAD-2でもプライマリケアにおいてはOK。

うつ病との鑑別が大切

PHQ-4;うつ病との鑑別に有用。オーバーラップはあるが二つを鑑別することで治療やコンサルトが変わります。

 

スクリーニングでひっかけたらDSM-5で照合する。

 

ポイントは6か月の継続、コントロールが効かない、

1.落ち着きのなさ、緊張感、神経の昂ぶり、
2.疲労しやすい、
3.集中困難、
4.易怒性、
5.筋緊張、
6.睡眠障害

のうち3つ以上を満たすこと。

 

全般性不安障害の鑑別診断

様々なものがあるが、見た目からはわからない内分泌疾患を疑うことが重要。

 

 

 

全般性不安障害のリスク因子

  • 女性が男性の2倍
  • 社会経済的地位が低い
  • 寡婦、別居、離婚している
  • 中高年
  • 精神疾患の併存
  • 物質乱用歴
  • 外傷
  • GADの家族歴(一親等でOR6.1(95%CI, 2.5-14.9))

ガイドラインではGAD高リスクであっても、スクリーニングの推奨は現時点ではされていない

         (有益性を示す質の高い研究がまだ少ない)

 

全般性不安障害の治療

 

  • 気分障害を併発していることが多く、治療への適用範囲が広いことから、SSRI(sertralineなど)やSNRI(venlafaxineなど)が好んで使用されている
  • 認知行動療法(CBT)は最も効果的な心理療法
  • CBTは薬物療法と同等の効果があることが示されており、単独または薬物との併用で使用する
  • 薬物療法とCBTの選択は、患者の好みや併存疾患の有無に基づいて行われる
  • 直接的および間接的(仕事や学校を休むことによる)な治療費を考慮する

 

 

LEARNモデル(20:29)

 

  • GADは患者背景が異なると症状の表現型が変わってしまう。
  • 文化がことなっても問題を拾い上げることができるツール。

 

 

GADの入院適応と精神科コンサルトの時期(21:12)

 

 

 

 

症例2 51歳女性 断続的な胸痛(23:13)

  • 6時間以内に続く断続的な胸痛が2年間にわたってあり
  • 胸痛は労作やストレス、その他の要因では誘発されず、他の症状も伴っていない
  • 4年前から下腹部と骨盤の痛みが続いており、吐き気や便通の変化はなし
  • これらの症状について、4人の医師の診断を受けている

 

 

身体症状症(26:03)

「苦痛や日常生活の妨げとなる1つ以上の身体症状があり、身体症状に関連した過剰な思考、感情、行動がある。少なくとも6か月間の医学的に説明のつかない身体症状の持続。」

 

 

重症度はDSM-5のBの症状の数によって分類する。

1.自分に症状の深刻さについて不釣り合いかつ持続する思考

2.健康または症状について持続する強い不安

3.これらの症状または健康への懸念に費やされる過度の時間と労力

 

 

 

鑑別疾患(30:12)

診断する前に、内科的疾患や他の精神疾患を十分に評価し、最適な治療を行う

 

 

最近の話題 post-acute sequelae of SARS-CoV-2 infection(PASC)(34:13)

Long COVID(⾧期間COVID)とも呼ばれる

コロナ感染後急性期から回復した 患者に認める後遺症、様々な自律神経障害がみられる
   女性>男性?
• 精神症状,睡眠障害, 運動不耐性,持続的な微熱,リンパ節腫脹
• 自律神経症状(軽度の 運動や起立時の頻脈, 寝汗,温度調節異常, 胃運動障害,便秘・ 軟便,末梢血管収縮)

アメリカでは症例の集積を始めた。
日本でも岡山大学や聖マリアンナ大学がcovid19罹患後の症状外来を始めている。


症例3 36才男性 抑うつ気分(38:54)

  • 3ヵ月前から重度の抑うつ気分、過眠、食欲不振、6.8kgの体重減少、家族、趣味、仕事への興味の喪失を訴えて受診。

 

 

大うつ病障害

PHQ-9またはPHQ-2でスクリーニング(40:37)

 

15点未満であればプライマリケアで治療可能。
重度のうつ病や初期治療の失敗、複雑な併存疾患、高い自殺リスクのある患者では精神科医に紹介が必要となる。

 

 

大うつ病性障害の治療(43:10)

 

認知行動療法と第2世代の抗うつ薬は同等の効果がある。治療中止率も同じ。
向精神薬の使用に反対する患者には認知行動療法が最良の治療となる。
※コメントで教えていただきましたが、認知行動療法様のビデオはオンライン上でも提供しているところが存在する。
  あくまで患者さんのこころのトレーニングという立ち位置である。


メンタルヘルスまとめ(47:44)

レポートしたセミナー : MKSAPで学ぶプライマリケア疾患